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住宅を購入・建築する際に「断熱材」という言葉を耳にすることは多いものの、種類が多くて何が違うのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。断熱材は住まいの快適さや光熱費に大きく影響する、住宅の性能を左右する重要な要素です。本記事では、住宅の断熱材の種類と特徴をわかりやすく整理し、自分に合った断熱材を選ぶための基礎知識をお伝えします。

断熱材とは、住宅の壁・床・天井などに組み込まれ、屋外の暑さや寒さを室内に伝えにくくするための素材です。断熱材の役割や、性能を示す指標について、まずは基本からご説明します。
断熱材は、夏の熱気や冬の冷気が室内に侵入するのを防ぐ「断熱層」を形成します。断熱性能が高いほど、冷暖房の効果が持続しやすく、エアコンが長時間稼働し続ける必要が減るため、光熱費の削減につながります。
断熱性能が低い住宅では、冬は底冷えし夏は蒸し暑いといった環境になりがちです。一方、断熱が十分に施された住宅では、室内の温度差が小さくなり、ヒートショックのリスク低減にも貢献すると言われています。
快適性と省エネ性能の両方を高める意味で、断熱材の選択は住宅購入・建築において非常に重要な判断ポイントです。
断熱等級とは、住宅の断熱性能を国が定めた基準に基づいて示す指標です。現在は等級1〜8の区分があり、数字が大きいほど断熱性能が高いことを示します。
2022年以降、断熱等級の上限が引き上げられ、「ZEH(ゼッチ)水準」では等級5以上に相当します。一般的な新築住宅では等級4が最低限の目安とされてきましたが、省エネ住宅への関心が高まる中、等級5以上を選ぶ方も増えています。
住宅カタログや仕様書で断熱等級を確認することで、断熱材の良し悪しを客観的に比較しやすくなります。

住宅に使われる断熱材は大きく「繊維系」「発泡プラスチック系」「天然素材系」の3カテゴリに分類されます。それぞれに異なる素材・施工方法・価格帯があり、住宅の構造や予算に合わせて選ばれています。
繊維系断熱材は、細かな繊維の間に空気を閉じ込めることで断熱効果を発揮します。代表的な素材は以下の3種類です。
繊維系は比較的コストが低い一方、施工時に水濡れに注意が必要なものもあります。
発泡プラスチック系断熱材は、樹脂を発泡させて作られたボード状または吹き付け型の断熱材です。主な種類は以下の通りです。
発泡プラスチック系は高い断熱性能と施工のしやすさが魅力ですが、材料コストは繊維系より高くなる傾向があります。
天然素材系断熱材は、自然由来の材料を活用した断熱材で、環境負荷が低く、化学物質を気にする方に選ばれる傾向があります。
天然素材系は環境への配慮や室内空気質の改善を重視する方に向いていますが、流通量が少なく、一般的に価格が高くなります。導入を検討する際は、取り扱いのある施工業者を事前に確認することをおすすめします。

住宅でよく使われる断熱材5種類について、それぞれのメリット・デメリットをわかりやすくご紹介します。素材ごとの特性を把握することで、住宅選びの判断材料にしていただけます。
グラスウールは、日本の新築住宅で最も広く使われている断熱材です。価格が比較的安く、施工のしやすさから多くのハウスメーカーや工務店が採用しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 熱伝導率 | 0.030〜0.050 W/m·K(製品により異なる) |
| 価格目安 | 低〜中(断熱材の中で最もコストが低い部類) |
| 施工方法 | 充填断熱に多く用いられる |
メリット
デメリット
グラスウールは「安価で使いやすい反面、施工の質で性能が大きく変わる」素材です。施工業者の丁寧さが重要なポイントになります。
吹付け硬質ウレタンフォームは、現場で液体状の原料を吹き付けて発泡・固化させる断熱材です。隙間なく充填できるため、気密性が高く断熱性能を均一に保てるのが大きな強みです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 熱伝導率 | 0.020〜0.028 W/m·K |
| 価格目安 | 中〜高 |
| 施工方法 | 現場吹き付け(充填断熱・外張り断熱どちらも可) |
メリット
デメリット
近年、高気密・高断熱住宅を目指す住宅で採用が増えており、省エネ性能を重視する方に注目されています。
セルロースファイバーは、古新聞などの再生紙を粉砕・加工した断熱材で、環境配慮型の住宅に関心がある方から支持されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 熱伝導率 | 0.038〜0.040 W/m·K |
| 価格目安 | 中〜高 |
| 施工方法 | 吹き込み充填(専用機器が必要) |
メリット
デメリット
断熱性能と調湿性のバランスが良く、自然素材にこだわる方にも適した選択肢です。
ポリスチレンフォームは、「スタイロフォーム」の名でも知られるボード状の断熱材で、床下・基礎部分・外張り断熱に広く活用されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 熱伝導率 | 0.028〜0.040 W/m·K(EPS/XPSで異なる) |
| 価格目安 | 中 |
| 施工方法 | ボード貼り付け(充填・外張りどちらも可) |
メリット
デメリット
EPS(ビーズ法)とXPS(押出法)の2種類があり、XPSのほうが断熱性能・耐水性ともに優れています。用途に合わせて選びましょう。
ロックウールは、玄武岩などの岩石や鉱物を高温で溶かして繊維状にした断熱材です。グラスウールと似た形状ですが、耐熱性・防火性ではより優れた特性を持っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 熱伝導率 | 0.034〜0.047 W/m·K |
| 価格目安 | 中(グラスウールよりやや高め) |
| 施工方法 | 充填断熱・外張り断熱 |
メリット
デメリット
防音性を重視する住宅や、防火区画に隣接する部位への使用に適した断熱材です。

断熱材を選ぶ際は、単に性能の高さだけでなく、予算・施工方法・住宅の構造との相性を総合的に考えることが大切です。ここでは、判断の軸となる2つのポイントをご紹介します。
断熱材の選択は、初期コストと長期的な光熱費のバランスで考えることが重要です。
初期費用を抑えたい場合は、グラスウールが有力な選択肢になります。一方、長期的な省エネ効果を重視するなら、断熱性能の高い吹付けウレタンフォームやフェノールフォームへの投資が後々の光熱費削減につながる場合もあります。
「最初は少し高くても、毎月の光熱費が下がれば長期的にはお得になる」という視点も大切です。
また、断熱等級との関係も見落とせません。同じ断熱材でも、厚さを増やすことで等級を上げることができます。どの等級を目標にするかを先に決めてから、それに見合った素材とコストを検討するとスムーズです。
断熱材の施工方法は大きく分けて2種類あります。それぞれに向いた断熱材の種類が異なるため、施工方法との相性を確認することが大切です。
充填断熱(内断熱):柱や壁の内側の空洞に断熱材を詰める方法。グラスウール・ロックウール・セルロースファイバー・吹付けウレタンが向いています。
外張り断熱(外断熱):柱の外側に断熱材を貼る方法。ボード状のポリスチレンフォームやフェノールフォームが使われることが多いです。
充填断熱はコストが低めで一般的に採用されていますが、柱部分に熱橋(断熱の弱点)ができやすい点が課題です。外張り断熱は建物全体をすっぽり断熱材で包む形になるため、熱橋が生じにくい一方、コストが高くなります。充填と外張りを組み合わせた「付加断熱」を採用する住宅も増えています。

建売住宅や分譲住宅では、断熱仕様があらかじめ決まっているため、購入前にしっかり確認することが重要です。断熱に関する情報は、営業担当への質問や仕様書から把握できます。
住宅展示場や内覧時に、以下の質問を営業担当に確認してみましょう。曖昧な回答が返ってきた場合は、文書での確認を求めることをおすすめします。
これらの質問に明確に答えられる営業担当がいる住宅会社は、断熱性能への意識が高いと判断できます。
建売住宅・分譲住宅には、住宅性能評価書や仕様書(建材仕様書)が存在する場合があります。これらの書類では以下の情報を確認できます。
「断熱等級○○」という表記だけでなく、UA値や使用断熱材の詳細まで確認できると、より正確な性能把握ができます。
書類が用意されていない場合でも、口頭で確認した内容を書面に残してもらうよう依頼すると安心です。購入後に「思っていた性能と違った」というトラブルを防ぐためにも、事前の確認を徹底しましょう。

住宅の断熱材には、グラスウール・ロックウール・セルロースファイバーといった繊維系、硬質ウレタンフォーム・ポリスチレンフォームなどの発泡プラスチック系、羊毛・コルクなどの天然素材系といった多様な種類があります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、「コストを抑えたいか」「高い断熱性能を求めるか」「環境配慮を重視するか」によって適切な選択肢が変わります。施工方法(充填断熱・外張り断熱)との相性も重要な確認ポイントです。
建売住宅・分譲住宅を選ぶ際は、断熱等級・UA値・使用断熱材の種類を仕様書や営業担当に確認することで、長く快適に暮らせる省エネ住宅を選びやすくなります。本記事が、住宅 断熱材 種類を理解するための第一歩になれば幸いです。

グラスウールが最もコストが低く、広く普及している断熱材です。ただし、施工の精度が断熱性能に大きく影響するため、施工業者の品質管理が重要です。性能と価格のバランスを求めるなら、高性能グラスウール(密度が高いタイプ)を選ぶのも一つの方法です。
住宅の広さや地域・生活スタイルによって異なりますが、等級5以上の住宅は等級4に比べて冷暖房効率が向上し、年間の光熱費を数万円単位で抑えられる可能性があります。国土交通省のモデル試算では、断熱等級を上げることで冷暖房エネルギーを20〜30%削減できる場合があるとされています。
完成済みの建売住宅の断熱仕様を変更することは、内装を大規模に解体する必要があり、費用・手間ともに大きくなります。内窓(二重窓)の設置や床下への断熱材追加など、部分的な断熱改修は後からでも可能な場合があります。購入前にしっかり仕様を確認することが最善です。
断熱材の種類によって異なりますが、適切に施工されたグラスウールやウレタンフォームは、住宅の耐用年数に近い30〜50年程度の耐久性があると言われています。ただし、水濡れや施工不良があると劣化が早まるため、施工品質と防湿対策が重要です。
はい。断熱材は「熱の移動を抑える」素材であるため、夏の外の熱が室内に入りにくくなる効果もあります。ただし、断熱性能だけでなく、遮熱性能(日射遮蔽)や換気計画との組み合わせが夏の快適性には大切です。日射を遮るひさしや遮熱ガラスとの組み合わせで、より快適な住まいを実現できます。