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住宅購入を検討するなかで、「共有名義にするかどうか」は多くの方が悩むポイントのひとつです。夫婦や親子でペアローンを組む場合、共有名義という選択肢が浮上することも多いでしょう。しかし、住宅購入における共有名義にはさまざまなデメリットがあり、将来のリスクを事前に知っておくことがとても大切です。本記事では、共有名義の具体的なデメリットから持分割合の決め方、解消方法まで丁寧に解説します。

結論からお伝えすると、住宅の共有名義は「全員の合意なしには動けない」という制約が、将来のあらゆる場面で足かせになる可能性があります。
共有名義とは、ひとつの不動産を複数人が「持分(もちぶん)」という形で共同所有することを指します。夫婦や親子でローンを分担する際によく選ばれる形式ですが、購入時のメリットばかりに目が向きがちです。
主なデメリットを一覧で確認しておきましょう。
| デメリット | 概要 |
|---|---|
| 売却・リフォームに全員の同意が必要 | 共有者のひとりが反対すると手続きが進まない |
| 離婚時のトラブル | 財産分与の際に話し合いが難航しやすい |
| 相続のたびに権利関係が複雑化 | 共有者が増え続け管理が困難になる |
| ローン返済リスク | 片方が返済不能になると連帯責任が生じる場合がある |
| 解消に費用と手間がかかる | 名義変更・売却・裁判など手続きが煩雑 |
| 見知らぬ人が共有者になる可能性 | 相続や持分売買により第三者が登場する場合がある |
これらのデメリットは、購入後数年ではなく、10年・20年という長いスパンで影響してくることが特徴です。次の章から、それぞれのデメリットを詳しく見ていきましょう。

住宅購入における共有名義のデメリットは多岐にわたります。以下では、特に影響が大きい6つのポイントを順番に解説します。それぞれが将来の生活にどう関わるかを、具体的なシーンをイメージしながら読み進めてみてください。
共有名義の不動産を売却したりリフォームしたりするには、共有者全員の合意が必要です。これは民法上のルールに基づくものであり、たとえ持分が過半数を超える共有者であっても、単独で売却契約を結ぶことはできません。
たとえば、「転勤が決まったので家を売りたい」「老朽化した水回りをリフォームしたい」と思っても、共有者のひとりが「反対する」「連絡が取れない」という状況になると、手続きが完全に止まってしまいます。
日常的な管理(電球の交換など)は各共有者が単独で行えますが、大規模修繕や売却といった重要な行為は必ず全員の同意が前提となります。将来の生活変化に柔軟に対応しにくいという点は、共有名義の大きなデメリットのひとつです。
夫婦で共有名義にしている場合、離婚の際に不動産の扱いをめぐってトラブルになるケースが非常に多くあります。
離婚時の財産分与では、共有名義の住宅をどうするかという問題が必ず発生します。主な選択肢は次の3つです。
いずれの方法も、相手との合意なしには進められません。感情的な対立が続くなかでの話し合いは難航しやすく、住宅ローンが残っている場合はさらに複雑さが増します。また、どちらかが住み続ける場合でも、住宅ローンの名義変更や借り換えが必要になることがあり、金融機関の審査をあらためて受けなければならないケースもあります。
共有名義は、離婚という万が一の場面でリスクが表面化しやすい形態です。
共有名義の不動産は、相続が発生するたびに共有者の数が増え、権利関係がどんどん複雑になっていくという問題があります。
たとえば、夫婦2人で共有していた住宅の夫が亡くなった場合、夫の持分は法定相続人(子・親・兄弟姉妹など)へと受け継がれます。その後、さらに次世代の相続が起きると、最終的には「会ったこともない遠い親戚」が共有者に加わることも珍しくありません。
共有者が増えれば増えるほど、売却・管理の合意形成は難しくなります。また、相続登記が行われないまま放置されると「所有者不明土地」問題にもつながりかねません。なお、2024年4月から相続登記が義務化されており、正当な理由なく登記を怠った場合は10万円以下の過料が科される可能性があります。
長期的な視点で見ると、相続の連鎖による権利関係の複雑化は見過ごせない重大なリスクです。
ペアローンや収入合算で住宅を購入した場合、どちらか一方が返済できなくなると、もう一方にも深刻な影響が及ぶ可能性があります。
ペアローンは夫婦それぞれが個別にローンを組む方法ですが、互いに相手のローンの連帯保証人になるケースが一般的です。そのため、片方が失業や収入減で返済が滞ると、もう一方がその分の返済を求められることがあります。
収入合算(連帯債務)の場合も同様で、債務者全員が返済義務を負うため、収入が減った側の負担が相手にのしかかることがあります。最悪の場合、住宅が競売にかけられ、家を失うリスクも否定できません。
返済できなくなったときの影響が自分だけで完結しない点は、共有名義・共同ローン特有のリスクとして事前に把握しておくことが大切です。
一度共有名義にした不動産を解消するには、相応の費用と手間がかかります。
共有名義を解消する主な方法には、「共有者間での売買」「第三者への売却」「裁判による共有物分割」などがありますが、どの方法を選んでも一定のコストが発生します。
また、共有者同士の話し合いが難航する場合は、解消までに数年単位の時間がかかることもあります。「解消しようと思えばすぐできる」という認識は危険で、将来の出口戦略を見越して名義を選ぶことが重要です。
共有名義の不動産では、共有者の持分が相続や売買によって第三者に渡り、見知らぬ人が共有者になるケースがあります。
民法上、共有者は自分の持分を自由に第三者へ売却する権利を持っています。つまり、ある日突然「自分の持分を買い取った」という見知らぬ人が共有者として現れる可能性があるのです。
このような事態が起きると、その第三者から「共有物分割請求(共有状態の解消を求める裁判)」を起こされたり、家賃相当額の使用料を請求されたりするリスクがあります。実際に、共有持分を専門に買い取る業者が存在し、トラブルに発展するケースも報告されています。
「家族間の共有だから安心」と思っていても、相続を経て状況が一変することがある点に注意が必要です。

共有名義を選ぶ場合、持分割合をどう設定するかはとても重要です。持分割合の設定を誤ると、思わぬ税負担が生じることがあります。ここでは、持分割合の考え方を2つの観点から解説します。
共有名義における持分割合は、出資割合に基づいて設定するのが一般的です。ただし、出資割合と持分割合がズレてしまうと、贈与税が課される可能性があるため注意が必要です。
持分割合と出資割合のズレが問題になりやすいのは、主に親子間などの血族関係です。たとえば、出資割合より少ない方に大きな持分を与えると、差額が贈与とみなされ、贈与税がかかる可能性があります。一方で、夫婦間でも実際の出資割合と登記の持分割合が異なると、差額が贈与とみなされ贈与税が課される可能性があります。住宅購入を共有名義で行う際のデメリットのひとつとして、こうした税務上のリスクをしっかり把握しておくことが大切です。
たとえば、購入費用3,000万円の住宅で夫が2,000万円・妻が1,000万円を負担した場合、持分を夫2/3・妻1/3と登記するのが適切ですが、仮に登記を夫1/2・妻1/2にすると、妻への差額1,000万円が贈与とみなされ贈与税が課される可能性があります。
持分割合は登記の際に設定できますが、税務上は実際の出資額に基づいて持分割合を設定するのが適切です。登記上の持分と実際の出資額が一致していないとトラブルの原因になりかねないため、自己資金・ローン負担額・頭金の出どころなどを整理したうえで、税理士や不動産会社に相談しながら適切な割合を設定されることをおすすめします。
住宅ローンの組み方によって、持分割合の考え方も変わってきます。代表的な2つのパターンを確認しておきましょう。
| ローンの種類 | 特徴 | 持分割合の目安 |
|---|---|---|
| ペアローン | 夫婦それぞれが別々にローンを契約 | 各自のローン負担額+自己資金の割合で按分 |
| 収入合算(連帯債務) | 合算した収入でひとつのローンを契約 | 収入合算の割合や実際の返済負担割合に応じて設定 |
ペアローンの場合、夫の借入額と妻の借入額の比率を基準に持分割合を設定するのが一般的です。一方、収入合算の場合は主債務者と連帯債務者の返済負担割合や自己資金の拠出額をもとに決めます。
いずれのケースも、頭金をどちらが負担したかという点が持分割合に大きく影響します。実際の資金の流れを記録・整理し、正確な持分割合を登記に反映させることが大切です。

共有名義にはデメリットが多い一方で、活用できる場面も存在します。自分たちの状況に照らし合わせて、共有名義が適しているかどうかを判断するための基準を整理しました。
共有名義が有効に機能するのは、主に税制上のメリットを最大限に活用したい場面です。
共有名義を選ぶことで得られる主なメリットは次のとおりです。
こうしたメリットが特に有効なのは、夫婦ともに安定した収入があり、長期的に同居を継続する見込みが高い場合です。また、将来的な売却を視野に入れており、節税効果を重視するケースでも共有名義が選ばれることがあります。
メリットとデメリットをしっかり比較したうえで、自分たちのライフスタイルに合う選択をすることが重要です。
一方で、以下のような状況では単独名義を選ぶほうが将来的なリスクを抑えやすいといえます。
単独名義にすると住宅ローン控除は1人分しか受けられませんが、将来の売却・相続・離婚などの場面でのトラブルリスクを大幅に下げられます。また、名義人が主体的に不動産の管理・処分を判断できるため、意思決定がシンプルになるというメリットもあります。
「今は共働きだが将来どうなるかわからない」という場合は、単独名義を軸に資金計画を見直すことも一つの選択肢です。

さまざまな事情から「共有名義を解消したい」という場面が訪れることがあります。解消の方法は複数ありますが、状況によって適切な手段が異なります。主な3つの方法を確認しておきましょう。
最もシンプルな解消方法は、共有者全員が合意のうえで不動産を売却することです。売却代金を持分割合に応じて分配することで、共有関係を完全に終了させることができます。
ただし、この方法には「全員の同意が必要」という前提があるため、共有者のうちひとりでも反対すると売却は進みません。また、住宅ローンが残っている場合は、売却代金でローンを完済できるかどうかも確認が必要です。売却額がローン残高を下回る「オーバーローン」の状態では、不足分を別途用意しなければならないこともあります。
全員が売却に合意しているなら、不動産会社に相談して媒介契約を結び、通常の売却手続きを進めることになります。
共有者間での持分の売買によって、共有名義を解消する方法もあります。どちらかが相手の持分を買い取ることで、その不動産の単独名義者になれます。
この方法のポイントは以下のとおりです。
自分の持分を第三者に売ることも法律上は可能ですが、前述のとおり「見知らぬ人が共有者になる」というリスクを相手に与えることになるため、まず共有者に買い取りを打診するのがマナーとして望ましいとされています。
共有者間での話し合いが決裂した場合、最終手段として「共有物分割請求訴訟」という法的手続きを利用することができます。
共有物分割請求とは、共有者が裁判所に対して共有状態の解消を求める手続きです。裁判所が介入することで、話し合いでは解決できなかった共有関係を強制的に終わらせることが可能になります。
裁判所が採る主な分割方法には、次のものがあります。
競売になると市場価格より低い金額でしか売れないケースが多く、双方にとって損失になりやすいため、できる限り当事者間での合意を目指すことが賢明です。早めに不動産会社や弁護士に相談することをおすすめします。

本記事では、住宅購入における共有名義のデメリットを中心に、持分割合の決め方や解消方法まで解説しました。
共有名義の主なデメリットをあらためて整理すると、「全員の合意なしに売却・リフォームができない」「離婚・相続でトラブルになりやすい」「ローンの連帯リスクがある」「解消に費用と時間がかかる」「第三者が共有者になる可能性がある」などが挙げられます。
これらのリスクを理解したうえで、自分たちの収入状況・家族構成・将来計画に合った名義の選択をすることが何より大切です。税制メリットを活かしたい場合は共有名義が有効な場面もありますが、将来の変化リスクが大きい場合は単独名義も積極的に検討しましょう。迷ったときは、不動産会社や税理士・ファイナンシャルプランナーなど専門家への相談を活用してみてください。

ペアローンの場合は夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けることができます。ただし、収入合算(連帯債務)の場合は持分割合に応じた控除となります。控除を受けるにはそれぞれが確定申告(または年末調整)を行う必要があります。
共有名義自体はそのまま継続できますが、住宅ローン控除は収入がなければ活用できません。また、ペアローンの返済が難しくなる場合は、借り換えや持分変更を検討する必要が生じることがあります。名義変更には贈与税が発生する可能性もあるため、専門家への相談をおすすめします。
主な方法は「どちらかが相手の持分を買い取って住み続ける」「二人で売却して代金を分け合う」の2つです。いずれも共有者全員の合意が必要で、住宅ローンが残っている場合は金融機関との交渉も必要になります。合意が難しい場合は弁護士への相談を検討しましょう。
親の持分は法定相続人(子・配偶者など)に相続されます。相続人が複数いる場合は、親の持分がさらに分散し、共有者が増える可能性があります。遺言書の作成や生前贈与などの対策を事前に講じておくことが重要です。なお、2024年4月から相続登記が義務化されており、相続後3年以内の登記申請が必要です。
変更自体は可能ですが、持分を移転する場合は「贈与」または「売買」として扱われ、贈与税や譲渡所得税が発生する可能性があります。また、登録免許税や司法書士費用もかかります。変更を検討する際は、税理士や司法書士に事前に相談することを強くおすすめします。